赦され、全き者とされる
四人の友人が屋根をはがして穴を開け、イエスは体の麻痺した人に罪は赦されたと告げ、律法学者たちはそれを冒涜と呼ぶ。イエスは徴税人と食事をし、断食しない弟子たちをかばい、安息日そのものを自分のものだと主張する。
2 1数日後、イエスが再びカファルナウムに戻られると、家におられるといううわさが広まった。 2大勢の人が集まって来たので、戸口のあたりまで隙間もないほどになった。イエスは彼らに御言葉を語っておられた。 3すると、人々が中風の人を四人で担いで、イエスのもとに連れて来た。 4しかし、群衆のためにイエスに近づけなかったので、イエスのおられる辺りの屋根をはがし、穴を開けて、中風の人が寝ている床をつり降ろした。
5イエスは彼らの信仰を見て、中風の人に言われた。「子よ、あなたの罪は赦される。」
6ところが、そこに律法学者が数人座っていて、心の中でこう考えた。 7「この人は、どうしてこういうことを言うのか。神を冒瀆している。神おひとりのほかに、いったい誰が罪を赦すことができるだろうか。」
8イエスは、彼らが心の中でこのように考えているのを、直ちにその霊で見抜いて、彼らに言われた。「なぜ、そのようなことを心の中で考えているのか。 9中風の人に、『あなたの罪は赦される』と言うのと、『起き上がって、床を担いで歩け』と言うのと、どちらがたやすいか。 10 しかし、人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを、あなたがたが知るために」──そう言って、中風の人に言われた。 a a v10 律法学者たちは、罪を赦せるのは神おひとりだけだと今しがた言ったばかりであった。ところが今、人の子であるイエスが罪を赦される。「人の子」という称号は、永遠の権威を与えられる者を見たダニエルの幻にさかのぼり、ここでイエスが誰であるかを静かに明かしている。 11「あなたに言う。起き上がって、床を担いで、家に帰りなさい。」
12その人は起き上がり、すぐに床を担いで、皆の前を出て行った。人々は皆驚いて、わたしたちの父をたたえて言った。「このようなことは、今まで一度も見たことがない。」
イエス、徴税人を招く
13イエスは再び湖のほとりに出て行かれた。群衆が皆みもとに集まって来たので、イエスは彼らを教えられた。
14イエスは通りがかりに、アルファイの子レビが収税所に座っているのを見て、「わたしに従いなさい」と言われた。彼は立ち上がってイエスに従った。
15イエスがレビの家で食事の席に着いておられたとき、大勢の徴税人や罪人が、イエスや弟子たちと共に席に着いていた。多くの人がイエスに従っていたのである。 16ファリサイ派の律法学者たちは、イエスが罪人や徴税人と一緒に食事をしておられるのを見て、弟子たちに言った。「どうして彼は、徴税人や罪人と一緒に食事をするのか。」
17イエスはこれを聞いて、彼らに言われた。「医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」
新しいぶどう酒、新しい道
18ヨハネの弟子たちとファリサイ派の人々は断食をしていた。人々は来て、イエスに言った。「なぜ、ヨハネの弟子たちとファリサイ派の弟子たちは断食するのに、あなたの弟子たちは断食しないのですか。」
19イエスは彼らに言われた。「花婿が一緒にいるのに、婚礼の客が断食できるだろうか。花婿が一緒にいる間は、断食することはできない。 20しかし、花婿が奪い取られる日が来る。その日には、彼らは断食するであろう。 21真新しい布切れを古い服に縫いつける者はいない。そんなことをすれば、新しい継ぎ切れが古い服を引き裂き、破れはいっそうひどくなる。 22新しいぶどう酒を古い革袋に入れる者はいない。そんなことをすれば、ぶどう酒は革袋を破り、ぶどう酒も革袋も、共にだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものである。」
人の子、安息日の主
23ある安息日に、イエスが麦畑を通って行かれると、弟子たちは道を進みながら、麦の穂を摘み始めた。 24ファリサイ派の人々がイエスに言った。「御覧なさい。なぜ、彼らは安息日にしてはならないことをするのか。」
25イエスは彼らに言われた。「ダビデが、自分も供の者たちも食べ物に困って空腹だったとき、何をしたか、あなたがたは一度も読んだことがないのか。 26大祭司アビアタルのとき、ダビデがわたしたちの父の家に入り、祭司のほかは誰も食べてはならない供えのパンを食べ、供の者たちにも与えたではないか。」
27更に、イエスは彼らに言われた。「安息日は人のために定められた。人が安息日のためにあるのではない。 28だから、人の子は安息日の主でもある。」